アルファブロガー「ちきりん」さんの思考法入門。
例えの出し方が絶妙で、さすがとしか言いようがない。
主婦の買い物と企業のM&A、女子の婚活と若者の就職などを、古典的思考フレームワークを利用して解説している。
これが、とにかくわかりやすいのだ。
本書のポイント
先入観を持たずに考える
知識とは「過去の事実の積み重ね」であり、思考とは「未来に通用する論理の到達点」です。ちきりんは知識の重要性を否定しているわけではありません。知識と思考を異なるものとして認識しましょうと言っているのです。
最初に「決定までのプロセス」を決定する
迅速な意思決定が求められるビジネスでは、「このビジネスをやるなら、こういう方法でやらないと我が社は勝てない。そのためには、これとこれを事前に確認しておく必要がある!」と具体的な意思決定プロセスを明確化し、それらに必要な情報もリストアップしてから調査や分析を始めるべきです。
「考えること」「思考」とは、インプットである情報をアウトプットである結論に変換するプロセスを指します。「私は考えた」というのは、「私はあるインプットをもとに、何らかの結論を出した。ある考えに至った」という意味です。
2つの問いを持つ
情報を見たときにまず考えるべきことは、「なぜ?」と「だからなんなの?」のふたつです。特に数字の情報を見たときは必ずこのふたつを考えます。
「なぜ?」とは、数字の背景を探る問いです。数字は何かの現象や活動の結果なので、全ての数字には理由があります。
(中略)
もうひとつの「だからなんなの?」は、「過去の結果がこの数字に表れているのだとしたら、次は何が起こるのか?それにたいして自分はどうすべきなのか?」と、データの先を考える問いです。
縦と横で比較する
ちきりんが社会人として最初に証券会社で働きはじめたとき、先輩に「企業分析の基本は二種類の比較だ。財務データはまず競合他社と比較すること。その次に、過去と現在を時系列に比較すること。まずはそれだけでいい」と教えられました。
シンプルに判断する
いくつも存在する判断基準は、全てが同じ重要性を持っているわけではありません。その時々で「今、もっとも重要な基準はどれなのか」ということを見極め、思い切って判断基準を仕分けてしまいましょう。そうすると、決断することが一気にラクにります。
フィルターを決める
この振り分け作業を行うには、ふたつのものが必要です。ひとつが「フィルター」で、もうひとつがそのフィルターに通す個別企業の情報です。
今の、”職活”の最大の問題は、学生が企業に関する情報を集めることばかりに必死になっていて、意味のある「フィルター」を探そうとしていないことです。
思考の棚を常に持っている
よく、「同じものを見ても、いろいろと気がつく人と、ぼーっとしていてなにも気がつかない人がいる」という言い方をしますが、この両者の差は、「知識を整理するための思考の棚をもっていて、次に知りたい情報を意識的に持っているかどうか」にあります。
で、感想など
5章「判断基準はシンプルが一番」で筆者は「日本はどんな国を目指すのか?」という問いを投げかけている。
もし、これからも製造業を中心としたもの作りの国を目指していくのなら、「円安誘導」「移民を含む単純労働者の海外からの受け入れ」「FTAやTPPのような自由貿易政策」が必要と言う。
反対に、第3次産業をを経済成長の源泉に移したいと考えるのなら、「観光産業に役立つハブ空港」「サービス業で働く人材の語学力向上」「金融、教育、ホスピタリティ産業への支援」が必要であると。
この答えに選択の余地はない。答えはサービス業へのシフトであろう。レッドオーシャン化が進んだ製造業に日本の未来を託すのは、あまりにも危険な選択だ。
現に、ドロドロのレッドオーシャンと化した薄型テレビ市場から日本メーカーは次々と撤退している。
現在は、TPP交渉への参加で日本国中が熱い議論のまっただ中である。(私は大反対であるが)TPPへの参加は、避けられない事態なのであろう。
このまま、TPPへの正式加盟が決定すれば、海外からの単純作業労働者が増えていくのは間違いがない。
「自分のアタマで考える力」がない日本人は、これら、外国人労働者と職を争わなければならなくなるのだ。
新聞やテレビは、広告主に不都合な事実を報道することはない。また、売上至上主義の週刊誌は、スキャンダルを求めウソにウソを上塗りして報道する。
情報をただ受入れて、国民がみな同じ方向を向くという国民性は終わりにしたいと思っているのは俺だけ?