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5W1Hの基本を理解してビジネスで活用する方法

はじめに

「指示が曖昧だ」「いつまでに終わらせればいいのかわからない」「誰に確認すれば良いのかわからない」、、、 システム開発の現場では、こうした課題が日常的に発生します。これらの問題に対して「5W1Hを意識して」という助言をよく耳にしますが、多くの場合、形式的なチェックリストとして扱われ、その本質的な価値を活かしきれていないのが現状です。上司から「5W1Hをもっと意識して」と言われて、内心「一応やってますけど、、、」とため息をついた経験のあるエンジニアも多いのではないでしょうか。

本記事では、システム開発の現場で実際に活用できる、実践的な5W1Hの活用法をお伝えしていきます。

5W1Hの本質ープロジェクトマネジメントの基盤として

5W1Hは、プロジェクトの要件定義や課題解決の際に必要な要素を整理するためのフレームワークとして知られています。 システム開発での事象を5W1Hに置き換えると、、、

  • What(何を):開発する機能・システムの具体的内容
  • When(いつ):開発スケジュール、納期、マイルストーン
  • Where(どこで):開発環境、運用環境、導入先
  • Who(誰が):責任者、承認者、開発担当者
  • Why(なぜ):開発の目的、解決すべき課題
  • How(どのように):開発手法、承認フロー

ここで重要なのは、これらの要素が互いに密接に関連しているという点です。例えば、新機能の開発(What)を検討する際、必然的にその承認者(Who)や期限(When)との整合性を確認する必要があります。「誰がいつまでに承認するのか」が不明確な要件は、往々にして進捗の停滞や手戻りの原因となります。

実践的活用法

あるWebアプリケーション開発での具体例

What 何が問題か

中堅システム開発会社のプロジェクトリーダーである佐藤さん(仮名)のチームでは、顧客管理システムの開発で深刻な問題が発生していました。仕様変更の承認が遅れ、開発スケジュールが大幅に遅延。チームメンバーのモチベーションも低下していました。この状況を改善するため、佐藤さんは5W1Hを使って問題の整理を始めました。

Who 誰が関わっている?

まず、Whoの分析から始めた佐藤さんは、指示命令系統の確認に取り掛かりました。プロジェクトオーナー、開発責任者、品質管理責任者など、各役割の責任範囲が曖昧になっていることが判明。特に仕様変更の承認プロセスにおいて、最終決定者が明確でないケースが多々ありました。

When いつまでにやるべき?

次にWhenの分析では、さらに深刻な問題が浮かび上がりました。マイルストーンは設定されているものの、各タスクの具体的な期限や、レビュー・承認のタイムラインが明確に定められていませんでした。

「なぜ」を深掘りする重要性

Why 問題の分析

指示命令系統と期限設定の問題に気づいた佐藤さんは、「Why」の分析を深めていきます。

「なぜ承認が遅れているのか?」 →承認者が明確でない

「なぜ承認者が明確でないのか?」 →プロジェクト体制表が最新化されていない

「なぜ体制表が更新されないのか?」 →プロジェクトガバナンスの仕組みが機能していない

この分析により、表面的な「承認の遅延」という問題から、より本質的な「プロジェクトガバナンスの欠如」という課題が見えてきました。

解決策の立案

How 解決策の具体化

問題の本質が見えてきたところで、佐藤さんは以下の解決策を考案しました。

  1. 役割と責任の明確化

    • プロジェクトの実務担当者の特定
    • 最終承認者の明確化
    • 情報共有が必要な関係者のリスト化
    • 相談・協議が必要な専門家の特定
  2. スケジュール管理の明確化

    • マイルストーンの細分化
    • 承認期限の明示
    • レビュースケジュールの策定
  3. コミュニケーション計画の策定

    • 定例会議の設定
    • 緊急時の連絡体制の整備
    • 進捗報告フォーマットの統一

各施策の実行にあたっては、次のようなアプローチを取りました。

  • プロジェクトメンバー全員が参照できる役割分担表の作成
  • タスクごとの担当者と期限を一覧化したスケジュール表の共有
  • 週次での進捗確認会議の定例化
  • 重要な意思決定に関する承認フローの図式化

これらの施策により、「誰に確認すべきか」「いつまでに完了すべきか」という基本的な疑問に、チームメンバーが即座に答えられる環境を整備しました。

おわりに

システム開発での効果的な5W1H活用のポイント

5W1Hは、単なるチェックリストではありません。それぞれの要素を有機的に結びつけ、プロジェクトの本質を理解するためのツールとして活用することで、より効果的な問題解決が可能になります。

佐藤さんの例では、表面的な「承認の遅延」から、より本質的な「プロジェクトガバナンスの課題」を特定することができました。この問題は、多くのシステム開発プロジェクトで見られる典型的な課題です。

指示命令系統と期限の明確化は、プロジェクトの成功に不可欠な要素です。5W1Hを活用することで、これらの要素を構造的に整理し、効果的な改善策を導き出すことができます。

あなたのプロジェクトでも、まずは今日のミーティングで「誰が」「いつまでに」を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。きっと、新しい気づきが得られるはずです。

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