「思考は現実化する」は、鉄鋼王アンドリュー・カーネギーの要請で、筆者ナポレオン・ヒルが20年もの歳月をかけて成功とは何かを記した書籍である。
人間の深層心理と成功の関連性を体系化し、多くの国で翻訳され出版から80年たった現在でも読まれている定番中の定番ビジネス書である。
成功の定義
成功とは、他人の権利を尊重し、社会正義に反することなく、自らに価値ありと認めた目標【願望】を、黄金律に従って一つひとつ実現していく課程である。
(注)黄金律・・・「自分がそうして欲しいと思うことは、何よりもまず他人にそうしてあげることだ」
願望実現のための6ヶ条
- あなたが実現したと思う欲望を「はっきり」させること。単にお金が欲しいなどというような願望設定は、全く無意味なことである。
- 実現したいと望むものを得るために、あなたはその代わりになにを”差し出す”のかを決めること。この世界は、代償を必要としない報酬など存在しない。
- あなたが実現したいと思っている願望を取得する「最終期限」を決めること。
- 願望実現のための詳細な計画を立てること。そしてまだその準備ができていなくても、迷わずにすぐに行動に移ること。
- 実現したい具体的願望、そのための代償、最終期限、そして詳細な計画、以上の4点を紙に詳しく書くこと。
- 紙に書いた宣言を、1日に2回、起床直後と就寝直前に、なるべく大きな声で読むこと、このとき、あなたはもうすでにその願望を実現したものと考え、そう自分に思い込ませることが大切である。
成功者に共通して見られる特徴は、明確な目標を設定してそれを紙に書き出していることである。
信念を強化する
揺らぐことのない信念を抱き続けるためには、繰り返し、潜在意識に命令を送り込むことが重要だ。潜在意識と結びついた思考は、似たような思考を引き寄せ信念をさらに強固なものにする。
また、否定的なイメージをもつと、潜在意識は否定的な方向に引き寄せられ、強かったはずの信念はもろく崩れてしまう。
普段より、”私はできる”と信じて疑わない心が、成功を引き寄せるのだ。
計画を実行に移すマスターマインド
計画を実行に移すには、マスターマインドが必要である。
マスターマインドとは「明確な目標を達成するための2人あるいはそれ以上の人たちによる、調和された、知恵(そして組織)と努力の協力関係」のことである。
- 計画を実行するにあたって、必要な人材を集め、グループを形成する(マスターマインド)
- マスターマインドに対する報酬を決定する
- マスターマインドとは少なくとも、週に2回は会うこと
- マスターマインドと心を合わせて計画を実行する
マスターマインドに参加する人が、心から協力したいと思えるような「動機付け」が大切である。
動機付けのポイントは2つあり、ひとつは、チーム全体の動機付けを行うことである。チームが一丸となるような、共通の利益となる目標を設定する。
もうひとつは、メンバー個々への動機付けである。各人の価値観を把握し、それぞれに別々の動機付けを行う。
リーダーになるための11の条件
- ゆるぎない勇気を持っていること
- セルフ・コントロールの能力を持っていること
- 強い正義感を持っていること
- 強固な決断力を持っていること
- 計画性を持っていること
- 報酬以上の仕事をする習慣を持っていること ー 受け取る報酬以上の、質の高い仕事をすることで、”プラスアルファの魔法”が起こる
- 明るい性格を持っていること
- 思いやりと理解を持っていること
- 詳細を認知していること
- 責任感を持っていること
- 協調性があること
リーダーになれないタイプは2つある。1つは「言われたことしかできない人」で、もう1つは「言われたこともできない人」だ。
リーダーになるには、とにかく率先して行動を起こすことである。これをパースナル・イニシアチブと呼ぶ。
リーダーが失敗する10の原因
- 綿密な思考に欠けること
- つまらない仕事をしたくないという気持ちを持つこと
- 行動よりも知識を大切にしすぎること
- 部下の挑戦を恐れること
- 想像力が欠如していること
- 利己主義者
- 過激な性格
- 不誠実
- 特権の乱用
- 地位の誇示
忍耐力を鍛える
忍耐力は、心にひとつのちからであり、鍛えることで強化できる機能である。
忍耐力を鍛えるためには、次の8つの秘訣がある。
エンスージアム(熱意)をもつ
成功するにはエンスージアムがなければならない。
熱意は自信を生み、自発性を促進する。エンスージアムをもった心は活発になり、魅力的なパースナリティを生み出しで周りから協力を得やすくなる。
熱意を最後まで持続させるには、明確な目標設定が欠かせない。明確な目標を設定して、常に確認できる状況にしく必要がある。
エンスージアムを持つには次のように行動する。
- 大きな声で話す
- 早口で話す
- 強調すること
- 間をとること
- 声に笑みを込めること
- 話し方に変化をつけること
積極的な心構え(PMA)
富を得るには常に積極的な心構え(Positive Mental Attitude)になっている必要がある。
ところが、周囲の冷ややかな視線・反応や途中のつまづきで、消極的な心構え(Negative Mental Attitude)に支配されてしまいそうになる。
積極的な心構えは、繰り返し意識していないと、頭をもたげてくる消極的な心構えに負けてしまう。そこで、(1)否定的な考え方になったら、肯定的な考え方に置き換える。(2)プラス思考の表現を口癖にするという方法を習慣化する。