自己啓発本で著者たちは「やればできる」と読み手を鼓舞する。
しかし、私たちは自分自身を変えることができないので、多くの人は成功することができない。
「残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法」は、変えられない自分をどのように、成功に導くのかを優しく残酷に説いている。
私たちは「やってもできない」
- 私たちの適正能力の大半は遺伝できまる
- 適正でない能力は、努力しても大して伸びない
自己啓発本は「やればできる」と説く。
「やればできる」という論拠が間違っている場合、信じて能力開発している時間は無駄でしかない。
無駄な時間を費やすより、「やってもできない」という事実を認で、その上でどのように生きていくのかを考えるべきである。
能力は向上しない
労働市場は国際化する
- 8割の労働層は、海外からやすい労働力が入ってくるので、さらに貧困になる
- 2割の裕福層は、市場が広がるので、ますます裕福なる
- 格差を生まないためには、教育が唯一の解決策になる
しかし、私たちの能力は伸びることはない
能力主義は公平だ
- 差別の要因は、「人種」、「国籍、「性別」、「宗教」、「容姿」、「家柄」など
- これらの要因で差別しないためには、能力主義にするしかない
差別は先天的な要因に起因している。
能力は後天的なもので、努力によって無制限に伸ばすことができる。したがって、能力主義は平等なのである。
私たちは変わらない
私を変えると
- 自己啓発本は、自分と世界は互いにフィードバックしあっていると説く
- 相手がネガティブな対応をすれば、私たちもネガティブな対応をする
- だから、人間関係がこじれると修復不可能になる
修復不可能にさせたくないなら、こちらが先にポジティブな対応をするのが最大の解決策だ。
しかし、残念なことに、そう簡単にわたしを変えることはできない。
愛情空間と貨幣空間
- 愛情空間とは、「家族」、「恋人」で構成されるコミュニティ。多くても6人程度
- 友情空間とは、「友人」から構成されるコミュニティ。20〜30人程度
- 政治空間(信頼社会)とは、「会社」などから構成されるコミュニティ。多くても100人程度
- 貨幣空間とは、愛情空間・友情空間・政治空間(安心社会)とは異なる空間。貨幣を通じて構成されるコミュニティ。つながりは無限大
差別のない貨幣空間
- グローバルな貨幣空間では、差別がない。その主義主張に関係なく、誰とでも積極的につき合いビジネスを拡大しようとする
- 政治空間での村社会では、狭い社会から出ようとせずにビジネスチャンスを逃す
- 格差社会の底辺にいる人は、社会の犠牲者というよりは、貨幣空間のルールに対応できない人々である
- 安心社会は、多くの人に安心を与えるかわりに、時に残酷に人を除外する
安心社会で生きて行くには、差別を受け入れ生きていかなければならない。他方、貨幣空間(信頼社会)では、ありのままの私を受け入れてくれる。安心社会に対応できない人も貨幣空間(信頼社会)では、問題なく生きていける。なぜなら、私は誰かはどうでも良いことだから。
幸せになれるか?
恐竜のしっぽの中に頭を探せ!
ロングテールの中のショートテール
- iTunesのような音楽配信サービスでは、ごく少数のヒット曲に人気の大半が集中(ショートヘッドという)
- それに対して尻尾には、人気のない曲や知らない曲がと並んでいる(ロングテール)
- テールの一部分を切断して拡大すると、そこにも小さなショートヘッドとロングテールが存在する
切断して拡大した各部分には、いくつものジャンルが存在し、その中には、私の好きな、私にフィットするジャンルが存在する。
この好きなジャンルにフォーカスして、自らのビジネスを立ち上げることが、私たちが幸せになれる唯一の手段なのだ。
私たちは幸せになれる
「好き」を仕事にするなら、ビジネスモデルをつくる必要がある。
グールグやアップルやアマゾンやその他さまざまなサービスが、そのためのインフラを提供しているそれを活用して幸せになれる可能性を見つければいい。
70億もの人々が織りなすグローバル市場も、地球環境に匹敵する複雑な生態系だ。伽藍を捨ててバザールへ向かえば、そこにはきっと、キミにふさわしいニッチがあるに違いない。
- 作者:橘 玲
- 発売日: 2010/09/28
- メディア: 単行本