幸福優位7つの法則/ショーン・エイカー

私たちが普段、漠然と考えている幸せのかたちは、「行動に対する成果」になっているのではないでしょうか。
例えば、「プロジェクトが成功する」や「資格試験に合格する」などです。
本当にそうなのでしょうか?
プロジェクトが成功して、試験に合格すれば、本当に幸せになれるのでしょうか。
筆者は幸せを

幸せは「成功に先行する」のであり、単なる「成功の結果」ではない。

と言い切ります。
つまり、幸せだからプロジェクトが成功し、幸せだから資格試験に合格するのだと。
筆者は、本書で幸せには7つの法則があると主張します。
では、幸せの7つの法則とはどのようなものなのでしょうか。

7つの法則

幸福優位の法則は7つの法則から成り、どれもが準備もいらず簡単に実行することが可能です。

その1 ハピネス・アドバンテージ

「幸せだと思っているときほど、もの事はうまくはいく」

ひとは、心のあり方や気分がポジティブであるとき、頭もよく働き、やる気が生じてきます。
つまり、幸せが中心にあって、成功はその周りを回っているのような感じです。
このような状態にある時は、結果的にものごとがうまくいくになるのです。
自分自身の幸福感を上げるには、瞑想をしたり、楽しみにしていることを考えてみたり、意識的に親切にふるまったり、運動をしたりします。

その2 心のレバレッジ

「良いイメージを持って行動すれば、成果は増加する」

マインドセット(心の持ちよう)によって、行動の結果は大きく変わってきます。
潜在的な可能性を最大にする力は二つあります。
ひとつはてこの長さ、つまり「自分が持っていると信じる潜在能力や可能性」、もうひとつは支点の位置、つまり「変化を起こす力を生じさせるマインドセット」です。

その3 テトリス効果

「ポジティブな気分を維持すれば、いつもうまくいくようになる」

テトリス効果」は、何か一つのことをやり続けることで起こる現象です。
例えば、テトリスをやり続けることで、何もかもがテトリスのブロックに見えてきてしまうなどと言うことです。
毎日、毎日、ポジティブな意識を持ち続けることができれば、私たちの脳は、どんなことが起きてもポジティブに思えるようになります。
それは簡単なことではありませんが、毎日の出来事から、素晴らしかったことを書き出すことなどで、ポジティブな意識を脳にインプットすることを習慣化していきます。

その4 再起力

「気持ちをうまく切り替える方法を習得する」

困難な状況を一変することはできません。
状況を冷静に判断し、どのように脱出するのかを冷静に判断します。
なぜ、状況が悪くなったのか?証拠があるのか?客観的な考えか?などを自分自身の中で反証し、状況を脱出するのかする方法を考えます。
反証するときは、声に出しておこなうことで、より高い効果を得ることができます。

その5 ゾロ・サークル

「小さな目標を設定し、クリアする」

いきなり大きな目標を設定すると、プレッシャーが大きくなり、やる気が失せてきます。
最初は、努力する範囲を狭くし、クリアすることに集中します。
クリアするたびに少しずつハードルを上げていき、大きな目標をクリアするのです。

その6 20秒ルール

「やりたくないことの準備は20秒でもしない」

筆者はギターを覚えようと、練習のスケジュールを綿密に決めてスタートしますが、4日しか続けられませんでした。
原因を考えると、クローゼットに片付けたギターを取り出すための20秒間が面倒になってしまったのです。
人はやりたくないことや面倒なことがあると、些細な障害でも大きな障害と感じ、面倒な気分になってしまします。
筆者は、それを克服するため、ギターホルダをリビングに置き、いつでもギターを取り出せるようにしました。
些細な障壁を取り除くことで、新しい生活習慣を作ることができます。

その7 ソーシャルへの投資

「他人に助けてもらう」

予期しない難局や脅威に直面したとき、それを切り抜ける唯一の方法は、信頼している誰かと一緒に乗り切ることです。
成功しているひとほど、ひとを信頼し、ひとに対して投資をします。

まとめ

筆者のショーン・エイカーは、ハーバード大学ポジティブ心理学を長く研究し、現在は世界中でビジネスで使うポジティブ心理学を広めています。
言われれば、「そんなことは当たり前だよね」と思うような法則ばかりかも知れません。しかし、毎日意識して実行することは容易ではないはずです。

幸せは目的であり、努力という手段を用いて得るものだと思いがちですが、幸せであるという手段を利用して、人生の新しい目的を達成していくのです。
幸せを手段として利用し、次々と自身のキャリアを広げていけば、人生は幸せの上昇スパイラルに入ります。

眉間にしわを寄せて頑張るよりも、楽しみながら少しずつ前進していく方が効率的かつ高い成果が得られるのです。