マーケティングとは、知覚をめぐる争いであって、商品をめぐる戦いではない。
マーケティングには、原則があり、多くの企業はこの原則を理解していない。本書では22のマーケティングの法則を紹介している。
素晴らしいマーケティング計画を手にしても、本書内の「マーケティングの不変の法則」にのっとっていなければ、計画はつまずくことになる。
マーケティング22の法則
(1) 1番手の法則
- 消費者は商品の品質などよりも、最初に心に入り込んだ商品を優れた商品と認識する
(2) カテゴリーの法則
- あるカテゴリーで1番になれないときは、1番になれるカテゴリーをこしらえる。どのカテゴリーでも、1番になることが重要
(3) 心の法則
- 消費者の心に訴えかける。また、心の中入り込むときは、徐々にではなく一気に入り込まなければならない。わかりやすいネーミングは製品を助ける
(4) 知覚の法則
- マーケティングには、客観的な事実というものは存在しない。あらゆる事実は相対的であり、消費者は、自分(または他人)の知覚を頼りに意思決定する。マーケットリサーチに基づく活動は不調に終わることが多い
(5) 集中の法則
- マーケティングの基本は、焦点を絞り込むことである。活動の焦点を絞れば絞るほど立場が強力になる
(6) 独占の法則
- 商品(サービス)に植え付けられたイメージは強力であり、いったん固まった消費者の心を変えることは容易ではない。自社のイメージに反した活動は失敗する
(7) 梯子(はしご)の法則
- 消費者の心の中には、商品カテゴリーごとに商品のはしご(ランク)が存在する。自身の順位を意識したマーケティングをおこなうこと。下のランクのものが王者のごとく振る舞ってはいけない
(8) 二極分化の法則
- はしごの段はいつしか整理され2段になる。市場で3位に甘んじていると、いつしか市場から追い出される
(9) 対立の法則
- 2番手が取る戦略は、1番手の戦略を研究し、全く逆の戦略をとること。ネガティブキャンペーンを行うときは、ウソがあってはならない
(10) 分割の法則
- 特定のカテゴリーは、いつしか分割細分化される。分割されたカテゴリーの中で多くの1番をとるなら、ブランド名を変えた方がよい
(11) 遠近関係の法則
- マーケティングの効果は、時間がたってから現れる。バーゲンやクーポンなどは一時的には儲かっても、長期的には損をすることが多い
(12) 製品ライン拡張の法則
- 製品ラインの拡張は、売上拡大の特効薬に見えるが、複数のカテゴリーでトップを目指すと不幸な結末になる
(13) 犠牲の法則
- 何かを手にするときは、何かを犠牲にしなければならない。一般的には、ゼネラリストの方が成功しそうであるが、スペシャリストの方が成功しているのが現実
(14) 属性の法則
- マーケティングはアイディアの争いである。1番手と張り合える属性を身につけるのではなく、1番手と正反対の属性を取り付けてみる
(15) 正直の法則
- 顧客の心に入り込む1番効果的な方法は、まず、ネガティブな面を認めて、それをポジティブに変えること。(○○は業界でナンバー2にすぎません・・・)
(16) 一撃の法則
- マーケティングにおいて効果を上げる唯一の行動は、一回きりの大胆な行動だ
(17) 測定不能の法則
- マーケットは予測不能であるが、トレンドをつかむことならできる。トレンドを予測し、さまざまなチャレンジを試みる
(18) 成功の法則
- マーケティングで客観性はとても重要だ。成功しても客観性を失ってはいけない
(19) 失敗の法則
- 失敗をしたときは、その過ちをただちに認め、必要な手直しを加えたあとで、そしらぬ顔をでやり直す
(20) パブリシティの法則
- 企業がパブリシティ活動を積極的にするときは、業績が悪いときである
(21) 成長促進の法則
- いっときのトレンドで成長しているときは、あえて水を差す行動を取ってみる。露出が高くなると飽きられるのも早くなる
(22) 財源の法則
- 資金を伴わないアイディアは、無価値である。売上をあがるのであれば、資金を注入するのは当然のこと
あとがきの警告
本書で述べた不変の法則を犯せば、あなたは失敗の危険を冒すことになる。
また、社内で不変の法則を使えば、経営陣に非難され、無視され、クビの危険にもさらされるだろう。
しかし、この「マーケティング22の法則」はきっとあなたを成功に導くことだろう、どうか辛抱して利用して欲しい。