コンサルティング能力/佐々木直彦

コンサルティング能力は、未来に向けて、クライアントの問題解決や夢実現を助ける能力をいう。
コンサルタントは、うまくいけば、感謝され、褒められる。しかし、常に勉強し続けなくてはいけない状況に追い込まれ、乗り越えなければならない障害に立ち向かわなければならない。
コンサルティングの世界は、自分自身を磨き上げ、人の役に立ち、クライアントや自身の未来を切り開く要素に満ちている。

コンサルタントに必要な6つ能力

コンサルティング能力は次に6つに分類できる。

  1. 問題発見能力(問題点を把握し、整理・構造化する力)
  2. 解決策立案能力(クライアントの状況に応じて、最適な解を考える力)
  3. プレゼンテーション能力(解決策を示し、クライアントを説得する力)
  4. 変革推進能力(具体的な成果をもたらす力)
  5. 自己価値創造能力(自分自身の価値をつくる力)
  6. コミュニケーション能力(インタビュー力、表現力、説得力など、、、)

このうち「問題発見能力」から「変革推進能力」までは、コンサルティングの基本プロセスである。
自己価値創造能力は、コンサルティングの価値である自身の能力の向上を怠らない姿勢あり、コミュニケーション能力は、クライアントの課題や問題をインタービューから引き出す力である

終身雇用が崩れ、一流企業でさえ、いつ倒産するかわからない現代では、専門性を生かしての独立や転職を成功させるためにも、コンサルティング能力を持つことは、大きな武器になる。

オプションの思想

コンサルタントとして独立しても成功する保証はどこにもない。
ひとつの考えにとらわれることなく、いくつもオプションの思想をもって動けるかどうかが、成功できるかどうかの基準になる。

コンサルティングをやっていく上で、うまく頭を切り換えて次の行動をとれるかどうかは、成功をさせるためにも、また、心の健康を保つためにも非常に重要だ。さらに言えば、もし、思い切りやってうまくいかないのなら、別のことをして生きていこうというオプションを用意しておくことが、実はプロとして成功する道だとも言える。

プロフェッショナルの条件

  • 成果思考(成果で勝負し、成果に責任を取る)
  • 第3者の視点(内部からは見えない的確な視点)
  • クライアントをうならせる仮説(仮説は現状と理想を埋めるギャップ)
  • 信頼と実績(常に一期一会の姿勢で)
  • 自己鍛錬(絶えざる勉強)
  • プロ意識(確実に契約を果たすという意識)
  • 人間性(失敗しても情熱的に取り組む姿)

キャリアシフト

ビジネスパーソンをキャリアの思考に分けると4つのタイプになる。

  1. 会社と運命をともにする会社人間
  2. 会社とは一歩距離を置きながらも、与えられた立場を受け入れて仕事のために勉強はしっかりする勉強家
  3. 会社に所属しながら、会社の枠を越えて人脈を作り、情報を集め、自分の可能性を試そうとする行動家
  4. 会社の所属にはそれほどこだわらず、自分からリスクを負ってやりたいビジネスを形にする起業家社会経験や思考によって、1から4へと上記のスタイルは変化していく。キャリアシフトが個人の中で進むと、人生のおける会社の位置づけが変化する。

より良い人生のため、もっと自分自身が役に立つ、仕事環境を必要とするのだ。自身のタイプを高めて、より貢献できる場所を探すのがコンサルティングとしてのあるべき姿である。

コンサルタントの営業方法

顧客との出会い方は、次の4通りしかない

  1. こちらから営業してクライアントを見つける
  2. 知人やこれまでのクライアントから新しいクライアントを紹介される
  3. 講演や書いた本、雑誌に掲載された記事などがきっかけになって引き合いの電話や手紙が来る
  4. 偶然の出会い

営業の方法は、これと思ったニーズのありそうな企業をアタックリストに加え、事前に情報収集しておき、決定権のある人に会うべく電話をしてアポイントを取るというのが1つのパターンである。

現代人気レポート7箇条

コンサルタントにとって、レポートの作成能力は重要な評価基準のひとつである。
現在、人気が高いレポートの作成スタイルは、次の7つの要素を充分に考慮したものだ。

  1. 全体が一目でわかる
  2. ビジュアル要素が多く、文章が少なめ
  3. 論理展開のストーリーが魅力的
  4. 中心となるコンセプトが、いい言葉で表現されている
  5. 分析が深く、鋭く、現場の光景が目に浮かぶ
  6. 相手が気になっているポイントにしっかりと答えを出す
  7. 問題解決のヒントが見える

目標設定とコンセプト

目標設定は次の4つの条件を考えて進めたい。

  1. 明確であること
  2. 独創的な魅力があること
  3. 現実感があって、しかも挑戦的であること
  4. 当事者一人一人が達成に向けて努力する意味を感じられること

目標とビジョンの違い

目標とビジョンの違いは、具体的計画への落とし込みがロジカルに出来るかどうかという点にある。-優れたビジョンに備わる特徴

  • 目に見えやすい
  • 現実が待望される
  • 現実可能である
  • 方向を示す
  • 柔軟である
  • コミュニケートしやすい

解決策の源泉

解決策の源泉になるのは、コンサルティングに携わる人間が持つべき次の7つの要素である。

  • コンサルティングの基本理論とノウハウに対する理解と知識
  • 基礎データをベースに展開を組み立てていける論理的構造力
  • 求める成果に向けて変化の流れを豊かにイメージできる創造性
  • 状況を肌でつかみ臨機応変に対応を設定できる感受性
  • 進んでリスクをとり新しい発想を試していくチャレンジスピリット
  • クライアントに対する責任感
  • 現場で積み重ねてきた成功と失敗

人を動かす4つのキーファクター

未来へ向けて行動を起こすときのキーファクターは「魅力的なビジョン」「危機感」「意味」「効力感」である。
行動基準は、(1)知らせる → (2)共感を得る → (3)行動変化を促す → (4)成果を共有する