繊細なあなたが簡単に「要求を飲ませる」3つのテクニック

督促OL 修行日記は、気弱な女子大生が金融機関の督促部門に配属され、様々な困難に巻き込まれながらも、社会人として成長していく日常が書かれたエッセイです。

筆者のN本氏は、督促の交渉係として日々支払い滞納者に電話をかけ、支払いの依頼をします。泣かれたり、脅かされたりと心が休まることはありません。しかし、N本氏は日々の仕事の経験から、相手に要求を飲ませるテクニックとストレスを溜めないマインドを手に入れました。

借金の督促の現場では、ときに滞納者は、敵意むき出しの態度で応戦してきます。手強い交渉相手ですが、こちらの態度次第で、相手にこちらの要求を簡単に飲ませることができるのです。

督促の現場が書かれた本書から、私たちが日常で使える交渉テクニックをピックアップしてみました。

相手の要求を飲ませる3つのテクニック

① ゆっくり話す

早口で話すと、交渉相手に精神的な余裕がないと悟られてしまいます。どんなに言いにくいことでも、ゆっくりと落ち着いて話しましょう。
ゆっくりと話すことで、相手は精神的な優位性を失い、強い態度でに出ることができなくなります。

②相手に言わせる

人は自分の口で言うと義務感を感じるようなります。督促の現場の場合、入金の約束をした滞納者の60%は、約束を守るそうです。
また、約束を守らなかった40%に滞納者は罪悪感があるため、「あなたが○月○日に入金すると言ったのですよ」と責めると次回の入金確率が向上します。
なので、何かを要求するときは、質問形式にして相手の口から言わせるという方法をとります。
「いつまでにやってもらえますか?」
「いくら入金できますか?」
などの質問をして具体的な日時や金額を言わせるのです。

③はじめに謝る

督促の電話での滞納者は、いつ感情が爆発するかわかりません。相手が感情的になるのを未然に防ぐには、事前に謝るという方法が有効です。
「お仕事中、申し訳ありません」
「誠に申し上げにくいのですが・・・」
「たびたび申し訳ありません」
相手が感情的なっている大きな理由は、自分の立場や気持ちを理解してもらえていないからです。ですから、謝る際には「○○して、大変申し訳ありません」と行動を具体的に言ってから謝るのが効果的です。
また、誤ったあとには、「○○していただいて、大変有難うございます」と感謝の気持ちを伝えるとさらに効果的です。

気持ちの疲弊にどう対処する?

ハードな交渉を続けていると、どうしても気持ちが疲弊してきます。実際、督促の現場の離職率は高く、多くの人が心を病んでしまうそうです。
そんな中で、筆者のN本氏が辞めなかったのは、自尊心を捨てる努力をしたからと言っています。

ひとは自尊心が傷つくのを嫌います。N本氏は自分が無知であるということを深く自覚しました。
その上で、「ワタシは謝るプロ」と新しい別の自分を作り上げ、新しい別の自分が怒られていると理解することでストレスから開放されたそうです。

さいごに

ハードな交渉は、言葉の使い方や心の置きどころが大変に難しいものです。特に難しい交渉である督促の現場の生きた知恵は、わたし達の仕事でも使えるものに違いありません。