瞑想は科学であり、脳を活性化させる最も優れたノウハウです。1回わずか15分程度の瞑想で、心と体をリフレッシュできます。瞑想を習慣化することで、瞑想がもつパワーを誰でも体感することができます。
宝彩有菜の著書「始めよう。瞑想」では、瞑想の心構えや方法について、わかりやすく説明されています。
以下では、本書で書かれた瞑想のエッセンスをまとめてみました。ストレスを持っている方は、ぜひとも試してみてください。
瞑想は頭をクリアにする
私たちの脳内は、さまざまな情報が造作に散らかっています。これはパソコンのデスクトップ上が多くのアイコンで散らかっているのと同じ状態です。
瞑想は、脳内のデスクトップ上に散らかっている情報を片付ける作業と考える理解しやすいです。デスクトップ上が、散らかり放題で片付いていない状態では、良い発想や感情は生むことはできません。
瞑想を実践し、脳内の不必要な情報を一時待避させることで、常にすっきしした頭で生活することができるようにります。
①頭で考えていることは自分自身ではない
私たちは、さまざまな外部環境と接触で、多くのネガティブな感情を生みだしてしまいます。
これは、自分自身がそうしたい(そう考えたい)わけではなく、脳が勝手に外部の出来事に反応し、思いをめぐらせているだけでなのです。
脳が勝手に発信させるネガティブな感情をストップするには、ネガティブな思いが発生したことを素早くキャッチし、勝手に動き出したその感情を即座にストップさせることです。
②後悔を止める
後悔とは、できない過去の変更を試みる作業です。当然ですが、過去を変更することはできません。いつまで考えていても、どうどう巡りになるだけです。
「○○○すれば良かった」という後悔の感情は、「○○○しなかったから悪かった」とう反省に置き換えなければなりません。
③心配をしない
「○○○になったらどうしよう」という心配は、起きていない未来を案じているだけです。
実際に起きてはいない(起きるかどうかわからない)出来事なのですから、実際にその事態が起きてから考えれば良いと自分を納得させましょう。
④怒りを抑える
怒りの感情が発生したら、まずは怒りの現象を俯瞰して見ることが大切です。
なぜ自分が怒っているのか、なぜ彼は私を怒らせたのか、彼はどうしてそのような行動をしたのか。怒りの原因を突き止め、どうすれば許せるのかを考えます。
⑤瞑想の会得はネガティブな感情をストップする
上記の感情は、私たちが普段の生活の中で、抑えきれずにいる感情たちです。
瞑想は頭の中に居座り、ネガティブな感情を生み出す根源を自分の中から追い出す作業です。
瞑想することで、穏やかで冷静な気持ちを保つことが可能となります。
瞑想の方法
- 「設座」場所を確保する − 暗く静かな場所に、座布団を二つ折りにして、座る場所を確保する。
- 「着座」座る − 座布団の上にあぐらをかく。
- 「開始前屈」状態を前に倒す − 手のひらを床につけ、状態をゆっくり前に倒す。
- 「瞑目」目を閉じる − 目をつぶる。
- 「起身」上体を起こす − 床につけた手を手前に引きながら、ゆっくりと上体を起こす。
- 「結印」印を結ぶ − 親指と人差し指で輪を作り、両手の膝に置く。
- 「通気」胸式呼吸 − 大きく息を吸って鼻から勢いよく出す胸式呼吸を3回行う。
- 「深気」腹式呼吸 − 腹式呼吸に切り替える。
- 「整芯」姿勢を整える − 座る姿勢を安定させるため、状態を左右に揺らし、背骨がまっすぐか確かめる。
- 「唱呪」瞑想に入る − 心の中で、マントラを唱える。「オーン、ナーム、スバーハー」
- 「実践瞑想」瞑想を進める − 何か頭に考えやイメージが浮かんできても、それを追いかけずに、すぐにマントラに戻る。
- 「境地瞑想」瞑想を深める − 何も考えるものがない状態を深める。
- 「終了」瞑想を終わる − 15分時間が経過したら、瞑想を終了する。
- 「終了前屈」瞑想を解く − 手のひらを床につけて、ゆっくりと状態を前に倒し、15秒静止する。
- 「終了休憩」リラックス − 意識が普通の状態になったら、目を開けて起き上がる。しばらくリラックスし休憩する。
瞑想を行う上でのポイント
- 瞑想中は何も考えない − 思考を止めることで心身共にリラックス状態にする
- マントラは雑念を際立たせる道具 − マントラを唱えることで、他の意識にうつることが軽減される
- 腹式呼吸をマスターする − 腹式呼吸を行うことで頭の随意筋作動思考が軽減される
- 印を結ぶのは睡眠防止のため − 瞑想中にうとうとすると印を結んでいる指がはなれる。気がついたらすぐに意識を立て直す。
- 「観照」を制御する − 観照とは自分で意識しないのに思考が勝手に進むこと。これは自分の思考を自身でコントロールできていないということなので、気がついたら強制的に停止する。
瞑想のメリット
①瞑想でアップする能力
- 理解力 − 理解力を阻害している多くの思い込みや、予見、偏見、こだわりがなくなるので、新しいことや複雑なことがすぐに理解できるようになる
- 集中力 − 思考中に余計な心配事や疑問が頭に浮上しても、その意識を外すことが容易になる
- 記憶力 − 思い出す力が強くなり、記憶していたことならどんなタイミングでも思い出せるようなる
- 判断力 − 欲が判断力を阻害する大きな原因です。それがなければ、冷静に状態を把握できるので判断力が鈍ることがなくなる
- 洞察力 − 素早く多面的、総合的に検討できるようになる
- 発想力 − さまざまな情報を処理可能になり、自在な発想が可能になる
- 企画力 − 多面的な検討、さまざまな工夫、全方位の気配りができるようになる
- 交渉力 − 欲に対する執着心が薄れるので、相手の得を誠実に伝えられるようになる
②瞑想で得られる効果
- 悩みが減る − 悩みは頭に余裕がない状態で起こる。処理できない小さな問題が積み重なり悩みが肥大化する。瞑想の実践で小さな問題が常に片付けられる。
- ストレスに強くなる − 瞑想によりデータ処理能力が向上し、ストレスに対する免疫力が向上する
- 優しくなる − 心に余裕が生まれ、相手のことを思いやる気持ちが芽生える
- 嬉しくなる − 人間が本来持っているうれしさを感じる気持ちが減少しない
- よく笑う朗らかな性格になる − 新しい思考回路が開通し、ネガティブな思いが残らなくなる
- クヨクヨしなくなる − 過去を悔やむ気持ちがなくなる
- イライラしなくなる − 取るに足りないことを気にしなくなる
- 健康になる − 心の健康になると免疫力が上がる
- 熟睡できる − 睡眠は日中の情報を整理する時間。瞑想で事前の整理作業が完了する
③自身の欲を制圧する
「欲」、「思考」、「瞑想」は互いに関係しています。人間が持つ欲は、「肉体的な欲」と「精神的な欲」に分類できます。
肉体的な欲には、食欲、睡眠欲、性欲、呼吸欲、排泄欲、保存欲があります。これらの欲は、その行為を済ませてしまえば、欲自体は心から消えてなくなります。
しかし、精神的な欲(名誉欲、金銭欲など)には、際限がなく、手にしたとしても、それで満足するということはありません。
この欲を抑えるには、問題の発信源(自分自身)を認識して、その問題を消し去る鍛錬が必要です。これができるようになることを「智恵の成長」と呼び、瞑想は、この「智恵の成長」のための実践的な練習なのです。