いち早く社会の流れを察知し、これからのビジネスパーソンの考え方や生き方を提案しているダニエル・ピンク氏の2006年発売の書籍です。
本書のテーマはこれからの社会に求められる人材像です。
これまでは、理数系的な思考をもつ「左脳主導思考」型人間が社会に重用されて来ました。しかし、これからの社会は、より文化的、芸術的、感情的な思考を持つ「右脳主導思考」型人間が重用されると主張します。
これまでの大量生産社会で活躍できる人材から、多品種少量生産社会で活躍できる人材になるにはどう何をすれば良いのでしょうか?
本書のポイント
これからの時代に求められる人材とは
- 理論だけの「左脳主導思考」型人間は、社会での重要度が低くなる
- これからの時代は、感情をつかさどる「右脳主導思考」型人間が重要視される
右脳主導型思考の重要度が増す理由
- 物質的なニーズが満たされ、感情面を重視する傾向が高くなった
- 左脳型の業務はアジアで格安で処理できるようになった
- ルーチンワークは、機械でできるようになった
仕事の将来性を問う3つの質問
これからの時代は、将来性のない仕事に就くのは大変に不利になる。その仕事の将来性を評価する。
- この仕事は、他の国ならもっと安くできるだろうか?
- この仕事は、コンピュータならもっと早くできるだろうか?
- 自分が提供しているものは、豊かな時代の非物質的で超越した欲望を満足させられるだろうか?
求められる6つのセンス
「左脳主導思考」型人間の需要はどんどん減ることは自明。今後社会に求められる「右脳主導思考」型人間は以下のセンスが求められる。
生きがいを考える
生きがいについて考える手がかりとして以下の本が薦められている。
で、感想など
今年はパナソニック、ソニー、シャープなどの大手メーカーが軒並み大規模な赤字に転落しました。日本のイノベーションの象徴的な存在である任天堂も今期は赤字決算です。
一方、アップル社は過去最高の黒字決算となりました。
赤字決算の上記日本企業とアップルの差は、ユーザーの「欲しい」という気持ちをどれくらい重要視したかどうかです。
iPhoneは、最先端の技術を詰め込んだ商品ではありませんが、使いやすさやデザインを徹底的にこだわりました。この小さなこだわりの積み重ねが、日本メーカーとの差を広げていったのです。アップルの思想はまさに本書に沿ったものであり、「ハイコンセプト」と呼ぶにふさわしい業績を生み出しました。
これからの社会で働くビジネスパーソンは「ハイコンセプト」の思想が不可欠なのです。