■はじめに
佐々木俊尚氏は、月に8本の雑誌連載と4本のWEB連載、それ以外に年に4〜5冊の書籍も刊行しています。キーボードから入力する文字数は、月間平均15万字にもなるとのことです。これだけの原稿を佐々木氏はどのようにして作成しているのでしょうか?
「ひと月15万字書く私の方法」では、ITを駆使した著者の原稿作成法が具体的に述べられています。
現在では、なくなってしまっているサービスやツールもありますが、同じ機能を持つものに置き換えることで。同じ方法を用いることが可能です。
■15万字書く具体的な方法
原稿作成の流れ
(1) テーマの設定
↓ ネットや印刷物から情報を収集する
(2) 情報集約フレームワーク
↓ 情報をまとめ、大きなくくりで分類
(3) 構造化フレームワーク
↓ 現状、課題、仮説でさらに分類
(4) 物語フレームワーク
さまざまな物語性を付加していく
(1)テーマの設定
まずは、アウトプットするテーマを設定します。
(2)情報集約フレームワーク
続いて、設定したテーマと関連のある情報を収集していきます。
- 書籍、雑誌、新聞のなどの活字データをスキャンしてデジタルデータ化
- テキストメモ、録音メモ、写真、各種ファイルなどのデジタルデータを集約する
- ウェブサイトの情報は集約せずにブックマークとしてリスト化する
上記手順で情報を集めたら次の手順で情報をグルーピングします。
- 第1グルーピング:おおざっぱにグルーピング
- 第2グルーピング:第1グルーピングで分類した項目をさらに以下の構造化フレームワークに沿って分類
作業方法
(1) 情報収集
Evernoteとdeliciousを利用してタグをつける。情報収集する際にタグを付加します。
付加するタグは2パターン。ジャンルタグとテーマタグ。ジャンルタグは一般的な分類。テーマタグはネタ元となるワード。
(2) 第1グルーピング
グルーピング化された情報にタイトル(見出し)を付加します。
タグからグループ化された情報のテキストををWz editorに移します。このときタグを見出しとしてアウトラインプロセッサ風にグルーピングしながらテキストを写していくのがコツです。
(3) 構造化フレームワーク
マインドマップにて第1グルーピングで設定したグループ単位に現状、課題、仮説で分類します。
情報にずれがある場合は移動します。
このときのポイントしては既存の現状、課題、仮説に加えるのではなく新しいノードを作成することです。
(例「○○○の課題」)マインドマップを見直し、全体の不整合を調整。
また、同じような方向性の話が2つのツリーに分裂してしまったり、別のツリーの下にあった場合は1つのツリーに統合します。
1つのツリーに明らかに違う話があれば2つに分けなおす。項目ノードが設定しているテーマについて全体を網羅できているかを確認します。
(4) ノードへのコメント追記
個々のノードにコメントを書き込んでいく。疑問、反論、評価、現実可能性、理由の推測、補足。
次に「現在の分析」、「仮説の分析」、「今後の戦略」ノードを付け足します。
書き込んでいったコメントを分析ノードに加えます。
・重複しているコメントや傾向の同じものはひとつの分析ノードにまとめる
・現状の分析ノードは課題、仮説へと接続されるようにまとめる
・仮説の分析ノードは今後の戦略へ接続されるようにまとめる
・結論に使いコメントは今後の戦略ノードの下に置く
(5) 原稿の作成
マインドマップをエクスポートしてテキスト情報に変換します。各ノードに引用やコメントなどを追加した文章にまとめていきます。
(6) 原稿の完成
- 引用とコメントをばらして地の文にならす − ソースとロジックを両立させ無理のない文章に仕立てる
- 分析の思考を深める − ブロガーの意見を取り入れる、分析手法(マトリクス分析、SWOTなど)を利用する、「3つのルール」の採用(「○な可能性も高いが、△が起こりえる可能性も高い、一方で◇も検討する必要があり」は「この可能性は3方向ある、①○、②△、③◇である。それぞれを検討すると・・・」)
- リード(前書き)を考える − 誰が、誰のために、どのような課題を、何の目的でなど5W1Hの手法を用いるとよい。
(7) さいごに
- ノードの整合性が取れているか
- 誤字脱字はないか
- ロジックが破綻していないか
- 引用はきちんとなされているか
を確認する。
- 作者:佐々木 俊尚
- 発売日: 2009/05/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)