■はじめに
ロジカルシンキングは、論点の決定からスタートするとおぼえましょう。
現代社会人の必須ツールとなりつつあるロジカルシンキングですが、イシューツリーやMECEなどの問題の解決メソッドばかりに注目が集まっています。どんなにすばらしい方法で問題を問いても、問題そのものやその過程が間違っていたら正しくない答えを導きだしてしまいます。
「論点思考」は、問題を解く方法ではなく、問題を設定するための論点を確定する方法について述べられています。著者は、ボストンコンサルティンググループで、長年コンサルタントとして活躍された内田和成氏です。
■論点の設定方法
問題解決は、正しい問題を定義すれば8割方の作業が終了したといわれます。ですので、問題設定は、問題解決において、最も重要な作業なのです。
論点の設定は以下の手順でおこなわれます。
(1)論点候補を洗い出す
- 大論点の設定
- 論点候補を洗い出すために、まずは「大論点」を設定します。大論点とは、複数ある論点の中でゴールを規定する最上位の論点であり、戦略思考の出発点になります。
- 論点の抽出
- 大論点を決定したら、次は、大論点に至る道筋を定義します。この道筋ごとの通過点が中論点となります。さらに中論点を分割して論点(小論点)を洗い出していきます。
通常、大論点までの道筋は、ひとつだけでなく複数あることが多いはずです。複数ある道筋からスジの良いものを選択するためには、「解くべき問題は、誰にとっての問題なのか」を考えて、必要ない道筋を排除します。
こうして、大論点を決定後、複数の論点を抽出していきます。
(2)論点を絞り込む
複数の論点を抽出したら、当たりをつけ、スジが良い論点を絞り込んでいきます。
次の3ステップで論点を絞り込みます。
- 当たりをつける
- 比較的容易に白黒つきそうな論点からアプローチ
- なぜを5回繰り返す
- 論点の深掘り、転調してみる
- スジの良し悪しを見る
- 解決可能かどうかを見きわめる
- 解決できる可能性の低い論点は捨てる
- 解決可能で、実行すれば効果が上がる論点がスジの良い論点
- 論点を絞り込む
- どれを解くと問題が解決するか、減少するかという視点を絞り込む
(3)論点を確定する
論点を絞り込んだあとは、論点を確定します。
論点確定には次のポイントに注意します。
- プロービング(深針)-「論点の仮説」を立てて論点の本質に迫る
- 質問して相手の話を聞く
- 仮説をぶつけて反応を見る
- 現場を見る
- 依頼主の真意を探る
- 発言の意図、真意、バックグラウンドを考える
- 顧客の立場になって論点の意味を考える(自分の価値観で論点を見ない)
- 顧客がワクワクするストーリーが論点
- 自分の引き出しを参照する
- アナロジー(類似事例)、他社事例
- 顧客視点で見る
- 鳥の眼、虫の眼で見る
- 過去の経験を参照する
(4)全体像で確認する
論点が確定したら、可視化して全体像を確認します。
「(3)論点を確定する」と「(4)全体像で確認する」は1回で確定する作業ではありません。何度も行ったり来たりして、論点の精度を上げていきます。
■論点思考力を高めるために
論点思考力を高めるためには、普段から意識を高くものごとを見ていきます。日頃から、考える癖をつけることで精度の高い論点が生み出されれるのです。
- 問題意識を持つ
- 視点を変える
- 視野(いつも見ている方向からだけでなく360度の視野でものを見る)
- 視座(より高い目線で物事を見る)
- 視点(着眼点、目の付け所)
- 複数の論点を考える
- 自分の論点の主張を明確にする
- 反対者の意見を想像する
■視点の変え方
日頃から身についた視点はなかなか変えられるものではありません。視点を変えるには以下のような型にはめて見てみると、今までとは異なるアイデアを生み出すことができます。
- 逆から考える
- 業界再下位ならどうするか
- 現場目線で考える
- 両極端に振ってみる
- ロングレンジで考える
- 自然界からの発送
- 日常生活からの発送
- アナロジーからの発送
- 顧客視点で見る
- 鳥の目、虫の眼で見る