80対20の法則とは
80対20の法則とは、投入、原因、努力のわずかな部分が、算出、結果、報酬の大きな部分をもたらすという法則である。
この法則を上手く使うことができれば、低い労力で高い結果を得ることが可能になる。
原因と結果、投入と算出、努力と報酬の比率はけっして50対50になるわけではない。両者の間は必ず不均衡が生じるものなのだ。
この法則に照らすと、活動のほんの一部から大きな利益を上げたいなら、発送を切り替え一部の拡大再生産に全力を注ぐ必要があることがわかる。
(本書ではパレートの法則とは呼ばず、80対20の法則と呼んでる)
80対20の法則の具体例
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- 世界全体のエネルギーの約80%を世界人口の15%が消費している
- 世界中の80%の資産を世界人口の25%が保有している
- 国民の20%、疾病の20%が国民医療費の80%を使っている
- 製品の20%が利益の80%を生み出している
- 本の価値の80%は、ページ数にして20%の中に見いだすことができる
80対20の比率はあくまでも目安であり、不均衡が大きくなるものあれば、小さくなるものもある。
80対20の法則の利用方法(企業編)
80対20分析
データを集めて、原因と結果、投入と算出、努力と報酬に発生している80対20の関係を把握する。これにより、事象の真実が明らかになり、利用することで絶大な効果を得ることができる。
80対20思考
自分の中の問題を観察し、80対20の法則が適応可能かを見極める。問題を80対20の仮説にあてはめることで、より効果的な行動をとることが可能になる。
ビジネスで80対20の法則を活用する(企業編)
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- 成功している企業は、最小限の努力で最大限の収益を上げられる市場で事業を行っている。そして、投資収益率の絶対水準が高く、なおかつ利益率が競争相手より高くなければ、成功しているとは言えない。
- これはすべての企業に言えることだが、現在、最大の「黒字」を上げている市場分野や顧客グループに的を絞れば、業績をめまぐるしく伸ばすことが常に可能である。それを行うには、もっとも「黒字」を出している分野に資源を再配分し、資源と経費の全体の水準を下げなければならない。
- あらゆる企業が、社内の不均衡を解消することで、「黒字」を増やすことができる。最高の「黒字」を出している会社の部分(人、工場、営業所、部門など)をみつけ、それを強化し、権限と資源をもっと与えれば、それができる。逆に言えば、最も少ない「黒字」あるいは「赤字」を出している部分をみつけ、根本的な改善策を練り、改善の見込みがなければ、その部分への再投資を止めることで、それができる。
単純は美しく、複雑は醜悪(企業編)
複雑な業務はコストの増加をまねく。シンプルな業務を実現することで、多くの見えないコストを排除することが可能になる。
企業のシンプルを実現するステップ(企業編)
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- ニッチ市場で支配的なシェアを獲得する。ニッチ市場は競争がなく、利益率が高い。
- 綿密に計画を立て、単純に仕事をしている事業分野は驚くほど収益率が高くなる。
- 複雑さのコストを削減するために、あうとそ-信を有効に活用する。
- 本社機能は多くの場合、本来業務を複雑化させる原因になる。中央からの助けを得ずに自力でがんばる部門は利益率が高いことが多い。
- 組織やしくみが単純なほど、顧客との距離が近くなり、自分が大切な顧客であることを実感できる。
80対20マーケティング(企業編)
80対20法則での意思決定の5原則(企業編)
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- 極めて重要な決定はそれほど多くない。重要でないものにあれこれ頭を悩まさない。
- ターニングポイントは知らない間に通り過ぎる。重要な決定は自分が知らないうちに方向が決まっていることが多い。
- 80%のデータを集め、使える時間の最初の20%で80%の分析を行い、残りの時間を100%使って決断する。
- 下した決定が間違っていることがわかったら、すぐに考えを変える。
- 自体が思い通りに進んでいたら、掛け金を倍々に増やしていく。
成果を出す生産的な業務方法(個人編)
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- 仕事にA、B、C、Dの優先順位をつけて、タスクを管理する時間管理法は意味がない
- 項目の60%〜70%がAまたはBの重要度となる
- 重要度の高い項目をこなそうと努力するうち、心と体の健康を害する
- 時間が足りないということはない。むしろ時間は余っている。時間の20%を有効にさえ使えばよい
- 時間を味方につける。過ぎ去った時間は必ず戻ってくる。静かに時と語り合うときに良いアイディアや価値のあるものが生まれる
- 行動をなるべく減らす。行動は思考を追い出す。生産的な20%の時間に集中すればよい
自分に時間の革命を起こす7つのステップ(個人編)
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- 頭を切り換え、努力と報酬が別物と理解する(努力すればよいわけではない)
- 罪悪感を捨てる(額に汗しないことの罪悪感)
- 押しつけられた仕事から自分を解放する
- 常識のとらわれず、柔軟に時間の使い方を考える
- 80%を与えてくれる20%が何かを見つける
- 80%を与えてくれる20%に使う時間を増やす
- つまらないことはやめる
成功するための10の法則(個人編)
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- 小さな隙間に特化し、これだけは誰にも負けないという能力を磨く
- 仕事をするのが楽しい隙間、第一人者として認められる確率が高い隙間を選ぶ
- 知識が力であることを肝に銘じる
- 自分の市場、核になる顧客を見つけ出し、その顧客に最善のサービスを提供する
- 80%の成果をもたらす20%の努力は何かを考える
- 超一流の人から学ぶ
- 早いうちに独立する
- 価値を創造できる人間をできるだけ多く雇う
- 核になるもの以外はすべて外部に委託する
- 資本のテコの原理(レバレッジ)を利用する
資産を増やす10の法則(個人編)
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- 自分の性格にあった投資方針を決める
- 目標を定め、投資を集中する
- 株式を中心に投資する
- 長期的に投資する
- 底値で買う
- 市場平均を上回ることができなければ、市場平均並みを狙う
- 自分の専門知識を生かせる分野に投資する
- 新興市場(エマージング・マーケット)に注目する
- 早めに損切りする
- 儲けを再投資する
幸福になるための手引き(個人編)
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- 幸せを感じる時間を増やし、不幸を感じる時間を減らす
- 「感じる知性」を磨く
- ものごとの見方を変える(落ち込んだら気分転換)
- 自分に対する見方を変える(自分は幸せになると決める)
- 出来事を変える(仕事を変える、環境を変える、不快なものを避ける)
- 習慣を変える(運動、頭の体操、心の刺激、親切心、友人、自分をもてなす、自分を祝福)
- 中長期戦略を立てる(自分への支配力を最大に、達成可能な目標、柔軟な思考、素晴らしいパートナー、友人、仕事の味方、理想のライフスタイル)
- 作者:リチャード コッチ
- 発売日: 1998/05/01
- メディア: 単行本