気弱なあなたが交渉で成功する方法


「交渉」は、意識をせずとも毎日のように行なっている行為です。
クライアントとの折衝は交渉、上司から作業指示も交渉、奥さんに小遣いの値上げを懇願するのも交渉です。
一方的に相手の話を受け入れる、または、一方的に自分の要求を突きつけることは交渉と呼びません。意見の一方通行は感情のしこりが残ってしまい、後に影響が出てしまします。

お互いの要求を見比べ情報を整理し、お互いが納得できる落としどころを見つけることが交渉です。瀧本哲史氏の著書「武器としての交渉思考」では、うまくいく交渉の進め方についてを解説しています。
本書で、繰り返し主張していることが「コモディティ化した人材にはなってはいけない」ということ。パソコンが上手に使えるだけでは、これからの時代を生き残ることはできません。生き残るためには、決断ができること、ディベートができること、交渉ができることが大切であると説きます。

交渉で成功する方法

交渉とは、「自分の情報を正確に伝えることでなく、相手の情報をいかに多く聞き出せるか」が重要であるといることを理解するのが要点です。よくデキる営業は喋らないと言われますが、自分が喋らなくていいのは相手が喋ってくれるからです。相手が喋ればしゃべるほど交渉は良い方向に向かいます。
相手が一方的に喋ってくれるとと二ついいことがあります。

多くの情報が手に入る

一つ目は、相手の情報を多く入手できるということです。営業職であれば、相手が多くしゃべることで、予算や競合他社、決裁のキーマンなど重要情報を入手できるかもしれません。得た情報が有用であればあるほど、相手が自社商品を購入してくれるベストな提案が容易になっていきます。

自分への警戒感を減らす

二つ目は、多く相手の話を聞くことで、相手の自分への警戒感を減らすことができます。一方的に自分が話すば、相手の警戒感は増すばかりで、交渉のハードルは上がるだけです。相手の話を多く聞くことで、親近感がわき、このひとなら自分(たち)のことを理解してくれるという気持ちが芽生えるのです。

パトナ(良い条件)を集める

相手の話を聞き、情報を集め、選択肢を多く持つことが交渉を成功させるための第一歩ということになります。
選択肢を多く集め、その中で自分にとって一番良い条件を「バトナ」と呼びます。相手のバトナを多く集めることはとても重要です。また、自分のバトナを相手に多く知らせていはいけません。交渉はウィンウィンを目指しますが、相手はスモールウィン、自分はビッグウィンを目指すのが上手な交渉の進め方です。

ゾーパを探す

バトナを集めたら、次はゾーパを探します。ゾーパとは合意できる範囲のことで、相手の予算が2500円で、自分の売りたい最低金額が2000円の場合は、2000円から2500円での売買がゾーパとなります。相手の予算が1900円だった場合は、ゾーパが存在しません。この場合は売っても利益が出ないので、ゾーパがないことがわかった時点で、交渉そのものを中止する必要があります。
相手の予算が2500円、自分の販売価格が2000円であれば、2500円で買ってもらう交渉をするのが、ベストな交渉であるのは言うまでもありません。

アンカリングをぶつける

交渉をはじめるにあたっては、まず、相手が飲めない高い条件をぶつけてみましょう。これをアンカリングと呼びます。先ほどの交渉であれば、3000円を最初の売値としてスタートさせてみます。相手は3000円では購入できないので、値引きを要求してきます。そこで徐々に値段を下げて、2500円で目一杯です、という事を相手に理解してもらえれば、自分も相手も満足のいく取引ができます。相手は500円も値引きができ、自分も500円多く売ることができるのです。当然、相手がスモールウィンで、自分がビッグウィンであることは言うまでもありません。

おわりに

バトナ、ゾーパ、アンカリングが本書における要点です。
アンカリングについては「気の弱い自分には、そんな交渉出来ません!orz」という人も多いかもしれません。このような気弱問題については、本書で、以下のアドバイスが書かれています。

そこで私がお勧めするのは、「自分ことだとは思わずに、代理人として交渉を頼まれた」とマインドを切り替えてみるとです。

他人の頼みごとだとえげつない交渉ができるのに、自分のことはからっきしというひとにはおすすめの方法です。

交渉だけでなく人間関係全てにおいて、まずは、立場を置き換えて相手の気持になって考えてみる。こうすることで、随分と辛いことから開放されるのに、それがなかなかできない人間って難しいですね。