現代社会において企業やマネジャーが、どのような役割を持ち、どのような責任で、どのような行動をするべきかが記された書籍である。
本書は、重要な概念が多いため、本書内のパートごとにまとめを作成した。
【Part1】マネジメントの使命 | 【Part2】マネジメントの方法 | 【Part3】マネジメントの戦略
マネジメントとは何か
組織は目的ではなく手段である。「その組織は何か」なのではなく「その組織は何をなすべきか、機能は何か」である。
組織の中核をなす機能がマネジメントであり、マネジメントには3つの機能がある。
(括弧内の2つは補足的な役割)
-
- 自らの組織に特有の使命を果たす − その組織がもつ特有の使命、目的を果たす
- 仕事を通じて働く人を生かす − 働き手にとっての自己実現の場をつくる
- 社会への貢献 − 自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する
- (時間を管理する − 常に現在と未来、短期と長期を見ていく)
- (起業家としての役割 − 小さな分野から大きな分野へ資源を向ける)
企業とは何か
利益主導の企業経営は間違いである
企業は、営利組織であってはならない。利潤動機による企業活動は間違いである。利益は、企業の目的ではなく条件である。
企業の目的は顧客の創造にある
企業は社会の機関であり、社会への貢献が必須である。活動の中で、顧客を創造することが企業の目的となる。
顧客が価値を認め購入するものは、財やサービスではなく、それらが提供する「効用」であることを理解しなければならない。
顧客に「効用」を提供するため、企業はマーケテイングとイノベーションの機能を有する必要がある。
-
- マーケテイング − 製品とサービスを顧客にあわせ、自然に売れるようにする
- イノベーション − 新しい満足を顧客に提供する
資源を生産的に利用する
顧客の創造という目的を達成するには、富を生むべき資源を有効に活用し、生産的に利用しなければならない。資源を活用し、生産性を向上させることが、企業の管理的機能である。
生産性に影響を与える要因には以下のものがある。
-
- 知識 − 知識は正しく利用したとき最も生産的な資源となる
- 時間 − 最も消えやすい資源なので有効的に活用する
- 製品の組み合わせ − プロダクトミックス
- プロセスの組み合わせ − 部品をつくるのと買うのはどちらが生産的かなど
- 自らの強み − どの事業に注力するのが最も生産的か
- 組織構造の適切さ、および活動間のバランス − 管理部門に多くのコストがかかってないか、研究開発に多くの人材を取られていないかなど
事業とは何か
自社の定義
「われわれの事業は何か。何であるべきか」の問いに企業自ら、徹底的に検討し、矛盾のない答えを定義をする。
すべての意思決定は、この問いの答えを持って行わなければならない。
自社の事業とは
「われわれの事業はなにか」の問いに答えることがトップマネジメントの責任である。その答えとなる目的と使命のスタート地点は常に顧客でなければならない。
「顧客は誰か」、「どこにいるのか」、「何を買うのか」をいつも自らに問いかけている必要がある。
事業の目標
マーケテイングの目標
マーケテイングの目標は、集中の目標(集中と選択の集中)と市場地位の目標がある。市場地位の目標は、最大ではなく最適を目指さなければならない。
-
- 既存の製品についての目標
- 既存の製品の廃棄についての目標
- 既存の市場の新製品についての目標
- 新市場についての目標
- 流通チャネルについての目標
- アフターサービスについての目標
- 信用供与についての目標
戦略計画
未来は、ただ望むだけでは起こらない。
-
- いま意思決定する
- いま行動する
- いまリスクを冒す
ことが必要になる。必要なのは長期計画ではなく、戦略計画である。
戦略計画への誤解
-
- 戦略計画は魔法の箱や手法の東ではない
- 戦略計画は予測ではない
- 戦略計画は未来の意思決定に関わるものではない
- 戦略計画はリスクをなくすものではなく、最小にするものでもない
戦略計画とは何か
-
- リスクを伴う企業的な意思決定をおこない
- その実行に必要な活動を体系的に組織し
- それらの活動の成果を期待したものと比較測定する
マネジメントの判断力、指導力、ビジョンは戦略計画という仕事を組織化し、そこに知識を適応して強化される。
仕事と人間
新しい現実
労働環境は大きく変革し、現代の労働は次のような特徴を持っている。
仕事とは何か
仕事の生産性を上げることと、人が生き生きと働く上で必要とされるものは異なる。したがって、仕事の倫理と労働の力学に従い、マネジメントしなければならない。
仕事の生産性を上げるために、必要となるのは、
-
- 分析 − 基本的な作業を明らかにし、論理的な順序に並べること
- プロセスの統合 − ひとりひとりのプロセスを生産プロセスに組み込む
- 管理のために手段を組み込む − 必要な水準にプロセスを維持するためにフィードバックする仕組み
仕事の生産性
「われわれが何であるか」の問いに答えるには、仕事を生産的におこなうことが必要になる。
-
- 生産性向上の条件を整理する(分析、統合、管理、道具)
- 成果を中心に考える − 技能や知識などインプツトから仕事をスタートしない
- 仕事の上の人間関係は、尊敬に基礎に考える
日本企業の成功要因
-
- 職務の設計をおこなわずに、やり方は職場に任せる
- 退職するまで研鑽を日常の課題とする
- 終身雇用制
- 福利厚生が重視される
- 強力なリーダーを育てない
人は最大の資産
権限と権力は異なる。マネジメントは権力を持たない。責任を持つだけである。それ以上のものは、持たない。
マネジメントにおいて、資源のうち人が最も活用されていない資源である。
この資源を活用するために、人こそ最大の資産であることを理解して、次のことを実行に移す。
-
- 仕事と職場に成果と責任を組み込む
- 共の働く人たちを生かすべきものととらえる
- 強みが成果に結びつくよう人を配置
【Part1】マネジメントの使命 | 【Part2】マネジメントの方法 | 【Part3】マネジメントの戦略
- 作者:ピーター・F・ドラッカー
- 発売日: 2001/12/14
- メディア: 単行本