中村天風は、さまざまな実業家に影響を与えた思想家だ。
太平洋戦争でスパイとして活動した天風は、絶体絶命のピンチも奇跡的に乗り越えるも、帰国後に不治の病である肺結核を発病する。
しかし、ヨガの師であるカリアッパと運命的に出会い、死の淵から奇跡的な復活を果たす。
多くのメッセージを残した天風から、われわれは何を得ることができるのか。
人生は心ひとつで変わる
「人生は心1つの置きどころ。」
これは、天風が残した中でも、私が好きな言葉の1つである。
心1つで、運命も人生も必ず変わる。
人は考え方ひとつで、良い方向にも進む。心を自分の思うようにコントロールすることが人生を変える。唯一最大の手段なのだ。
徹底して信念を貫く必要性
心の力が勝れば、運命だって、思うがままに支配できる。
天風にしろカーネギーにしろ、自分の中で決めたことを、最後まで「やり抜く」気質を持っていた。中途半端で投げ出さなかった。多くの人は、これができずに運命に流されていく。
「信念」と「行動力」を自身の心に植え付けて行動することが、自身の運命を切り開く原動力となる。
今にこだわって生きてみる
ヨガ修行中のある日、天風はカリアッパにたずねた。
「いったい私がいるのは、どの辺りなんでしょうか?ここはどこなんですか?」
たずねられたカリアッパは。すぐさまこう答えたという。
「ここは、お前のいる場所だよ」
カリアッパは、場所が大切なわけではない、そんなことを考えても意味がない。お前は今、この場所で、自分がやるべきことをやりなさいとの意味だった。
その後、天風は今を重要視するように考え方を改めた。そして、不治の病であった肺結核は、めざましい回復を見せる。
過去や、未来にとらわれることなく、今現在を必死に生きる姿勢が、明るい明日を築くのだ。
率先して動くリーダーに部下は本気でついてくる
口先だけで、ものごとを動かそうとする上司に部下はついてはこない。
天風は、「自分が実証できないこと」「自分のやっていないこと」「自分の出来ないこと」は、決して口にしなかった。
自身で率先し、本気で変えてやろうとする心を部下は敏感に感じる。真のリーダーシップを発揮する上司に部下はついてくるのだ。
高い目標を自身に課す
自身にレベルの高い目標を課すことで、人生のレベルを高くすることができる。
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- 本能充足の目標
- 感覚充足の目標
- 感情充足の目標
- 理性充足の目標
- 霊性充足の目標
真に満たされた人生を送るためには、「霊性充足の目標」が重要である。これは、「人生をかけられる楽しい欲望」と言い換えても良い。
その真意を理解するには、「真我」を自覚する必要がある。「真の自分」を自覚したとき、可能性は無限大となるのだ。
肉体は自分のものではない
「我ありと、思えるものは仮の我。誠の我は命そのもの」
自分の体を自分のものと思ってはいけない。
「命そのもの」については様々な表現ができる。イメージしやすいのは「気」であるが、スピリチュアルに宇宙霊や宇宙生命のエネルギーと呼ぶこともできる。真我(本当の自分)も、このエネルギーのことを指している。
真我を自覚するということは、「大宇宙と自分のつながり」を感じることである。
真我を自覚し、霊性を満足させるには、自身の言動で他人を喜ばせることだ。
人生のあるべき姿をイメージし、日々の努力を怠らない姿勢が、人生を変えるためには必要なのである。
人生の大きな目標に気づいたとき、毎日やるべきことは自然と見えてくる。
怒るな!恐れるな!悲しむな!
天風は、次の感情を3つのタブー「三こつ」として嫌っていた。
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- 怒る
- 恐れる
- 悲しむ
昔から「心身一如」というように、体と心は車輪のようなもの。心のあり方は体に影響を与え、体の状態が心を左右する。
苦しい、情けないと思うよりも、詳細にに今起きている状況やそこから抜け出す方法を考える。
心と体の健康を維持する
体の健康を維持するには、心を健康にすることが欠かせない。そのきっかけとなるのが、代表的なプラスの感情「三行」である。
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- 正直
- 親切
- 愉快
「自分が世間に認められないのは、まだ本気を出していないからだ」
こんなことを口にする人は、本気を出しても成功しないのが怖いからだ。努力をするのがいやなのだ。自分の力不足を認めたくないだけなのだ。
無理にでも笑えば、愉快になってくる
「スマイル」、「大きな声で笑う」、「快活そうに振る舞う」
嘘でもこのように振る舞うことで、心と体に元気がわいてきて、悩みそのものが消えてくる。
心の汚れた水を浄化する
社会の中で暮らしていけばどうしても、ネガティブな気持ちにとらわれてしまう。
恨めしい、苦しい、つらい、いやだ、情けない、やってられない、疲れた、ダメだ、むり、できない、ばからしい、泣きたい、困った。
こうした気持ちに支配されて、すべてを投げ出したくなる。これは、心の器が「汚い水」で満たしている状態だ。
心の器に汚い水しか溜まってない人は、ちょっとしたことで切れたり、人を傷つけようとする。
これは、結果的に、自分自身を苦しめることになる。
心の器をきれいにするには、「清らかな水」注ぐことだ。
明るい、楽しい、嬉しい、やりがいがある、心地よい。わくわくする、感動、感謝、感激、生きていて良かった。
このような思いで心で満たしていかねばならない。
尊敬される人はプリンシプルを持っている
裏方に徹することが、天風人生のプリンシプル(原理・原則)だった。プリンシプルにそって行動することで、周りから気丈な人材であると評価される。
原理原則に徹し、私利私欲に走らず、本来あるべき姿でものごとを考えなければならない。
人としての価値を高めるこだわる姿勢
天風の残した言葉や、その生きざまから、天風の3Kを感じ取ることができる。
それは次の3つの姿勢のことである。
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- こだわる
- きわめる
- 心使い、気配り
これらを常に意識することが、ビジネスでもプライベートでもプラスの効果を生むことになる。
これらは、人生を思い通りに変えるための心構えである。
できる人ほど、心配りと心遣いを忘れない
心遣いや気配りというのは、人生の余裕から生まれる。天風は、どんなときでも弱者に対して優しかった。
常に余裕を持っていたからだ。その優しさが、やがて数十万もの人を引き付けた。
あなたも、もっと他人に目を向けよう。出来るだけ手助けできるだけの余裕を持とう。
理論派よりも実践派を目指す
大切なのは、100の理論よりも1つの実践である。
実践を怠っている人間は、年を取っても何1つ身にはつかない。
最初の1歩を踏み出さなければ、人生はいつまでも変わらない。逆に1歩さえ踏み出せば、驚くほど先まで進めることもある。
あなたの未来を変えていくのは、最初の1歩を踏み出す勇気なのである。
強さを生み出す「絶対積極」の境地
天風は、ものごとの根源まで目を向けるため「絶対積極」という考え方を説いている。
これは、いきなり結論を出すのではなく、まずは事実を受け止め、そこからどうするかを模索しながら、解決策や応用法を考えるというものだ。
事実を受け止めると言うことは、「コップに水が半分しかない」「コップに水が半分もある」ではなく「コップに水が半分はある」という冷静な事実認識である。そこには、自分の感想や意思がはいってはならない。
新しい自分になるための7つの心構え
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- 人生の全体像に目を向ける − これから先どんな仕事をして、どんな生き方をしていくのか
- 心の底から自由を感じる − 心が自由でさえあれば、ストレスを感じることはない
- 迷ったら行動を習慣にしてしまう − (1)いつまでに終わらせるかを周囲に公言してしまう、(2)自分の中で締め切りをもうける、(3)自分に小さなご褒美を出す、(4)短時間でも良いから、とにかくスタートしてみる、(5)成功したイメージを思い浮かべる
- 楽しく仕事に取り組める工夫をする − まずは、今の仕事に楽しみを見出す
- 部下の手本となる自信と実力を身につける − 自信が持てないのなら、事前に勉強して実力をつけおく
- あえて人のしないことをしてみる − 成功を実現するためには、人と違った考え方が必要不可欠だ
- 人との出会いを大切にする − 「WINーWIN」の関係を築き、良きメンターとなる
- 作者:松本 幸夫
- 発売日: 2009/06/09
- メディア: 新書