営業不要のマーケティング/インバウンド・マーケティング

インバウンドマーケティングは、従来の外回り営業で見込み客を見つける手法ではなく、見込み客から自社商品(サービス)を見つけてもらう方法です。
以下に本書のポイントをまとめてみました。

従来の営業方法の問題点

従来の営業方法(アウトバウンドマーケティング)は次のような問題がありました。インバウンドマーケティングを利用することでこれら問題から解放されます。

財布の大きさによって決定される「マーケティングの暗黒」

アウトバウンドマーケティングでは、多くの予算を持つ企業が勝つ仕組みができあがっていました。
インバウンドマーケティングでは予算の大小に関係なく勝ち組になることが可能です。

売り込みのために「人々の生活に強制介入しなければならない暗黒」

アウトバウンドマーケティングでは、見込み客の「欲しい、欲しくない」に関係なく、半ば強制的に見込み客に売り込みを行う必要がありました。
インバウンドマーケティングでは、本当に必要としている見込み客自らが声をかけてきます。

自社を知ってもらうための「マスメディアに依存しなければならない暗黒」

アウトバウンドマーケティングでは、自社商品を知ってもらうために多くの広告費をかけて、自社商品の告知を行う必要がありました。
インバウンドマーケティングでは、費用をかけずに自社商品を知ってもらうことが可能になります。

インバウンドマーケティングの手法

消費者は、インターネットを利用して、購入予定商品(サービス)の情報収集を行います。
したがって、売り手である企業は、買い手である消費者の購入行動に合わせた、情報提供方法が必要となります。

サーチエンジン

Googleなど検索エンジンで購入対象商品の情報収集を行います。従って、自社商品が持つ属性のキーワードで上位に検索結果が表示される必要があります。

ブロゴスフィア

多くのブログでは商品やサービスのレビューが掲載されています。多くのブロガーに商品を認知してもらい、記事に書いてもらうのはインバウンドマーケティングでは、とても重要なことです。

ソーシャルメディア

日本でもFacebookの利用者が急増しています。現在、Facebookの「いいね」ボタンは多くのサイトで採用されています。多くのユーザーに語られることで商品やサービスの認知度は向上します。

ウェブ上で多くユーザーに語られるには、まずは自社から発信する情報が「突き抜けている」必要があります。
「突き抜けた」情報を提供することで、多くのユーザー認知される機会を増加させます。

突き抜けた情報とは

突き抜けた情報を作ることは容易ではありません。それなりの時間も超すとも必要になってきます。しかし、インバウンドマーケティングでは、多くの営業担当を必要としませんので、従来のアウトバウンドマーケティングで必要として費用を「突き抜けた」コンテンツ作成にまわすことが可能です。では、突き抜けた情報とはどのようなものでしょうか。

ブログ

イムリーな情報を出して行くにはブログが最適です。商品(サービス)の新しい情報をタイムリーに公開していきます。また、ブログに付いたコメントには会話するように答えていきます。

白書、レポート

自社の商品(サービス)に関する一般的な状況をまとめて白書、レポートなどの形式で公開します。

動画

商品(サービス)に関する短い動画をYoutubeなどで公開します。

オンラインセミナー

商品(サービス)の使い方やセールスポイントなどをセミナー形式でustreamなどで公開します。

ポッドキャスト

商品(サービス)の情報をポッドキャストで配信します。

見込み客から声をかけてもらう

ウェブ上で「突き抜けた」情報を提供することで、見込み客は自社に親近感を持ち始めています。
多くの情報やプチ体験を与えることで、多くの見込み客予備群がサイトに集まっています。
その見込み客予備群に実際に行動を喚起させるため「VEPAの法則」を実行します。VEPAの法則を実行することで、見込み客予備群は自社サイトに顧客情報を残して、見込みへトランクアップします。
VEPAの法則は、無料トライアル、無料デモ、無料セミナー、無料レポートなどをウェブ上で提供する代わりに見込み客予備群の情報を得るものです。

Valueable

まずは、提供するアイテムを準備します。提供するアイテムはもらう側にとって価値を感じるものでなければなりません。

Easy to use

ウェブ上から申し込みを行います。申し込みの画面は利用者にとって使いやすいものでなければなりません。

Prominent

利用者は、アイテムと引き替えにメールアドレスなど自身の情報を提供しなければなりません。ウェブ上で発信されるオファーは利用者にとって魅力的に見えなければなりません。

Action oriented

利用者の行動を促すために魅力的なメッセージが必要です。たとえば「我が社の○○コンテストに参加しよう!」

見込み客をリアル顧客にする

ウェブ上に様々な仕掛けを作ることで、多くの見込み客の情報を得ることができます。既に見込み客は自社商品(サービス)について十分な理解をしています。また、親近感も持っているはずです。
見込み客には様々なオファーを行っていくことでリアル顧客にしていくことが可能になります。

インバウンドマーケティングの感想

数年前に消費者の消費行動が「AIDMA」から「AISAS」への変化が話題となりました。

AIDMA

Attention(注意)
Interest(関心)
Desire(欲求)
Memory(記憶)
Action(行動)

AISAS

Attention(注意)
Interest(関心)
Search(検索)
Action(行動、購入)
Share(共有、商品評価をネット上で共有しあう)

AIDMAでは、マスメディアを通じていかに「Desire(欲求)」を多くつくり出すことが最大の目的でした。
使用した広告宣伝費の額がそのまま売り上げに直結していたのです。

AISASでは「Search(検索)」と「 Share(共有、商品評価をネット上で共有しあう)」がキーです。商品やサービスは検索されやすく、購入後に語りやすいものである必要があります。
この2つを満たすために、売り手は質の高い情報をウェブ上に公開して、ひとりでも多くの買い手に理解してもらう必要があります。

これからのマーケティングは「規模の経済」の影響力は弱まっていきますが、売り手には様々なスキルが要求されます。
それは、ソーシャルメディアの利用法であり、文書作成能力であり、SEOの知識であり、消費者行動の心理学であったりします。
非常に難しい時代ではありますが、小さな資本力でもアイディア次第では、市場で十分に戦っていける時代であるわけです。