「役に立つ」文章を書くと言うこと

原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)

原稿用紙10枚を書く力 (だいわ文庫)

  • 作者:齋藤 孝
  • 発売日: 2007/02/09
  • メディア: 文庫

■はじめに

この4月から、継続的にブログを書くことを心に誓い、このブログを開設しました。
このブログのテーマは私が読んだ書籍から「使える」と思う情報をピックアップして、読んでいただける皆さんに役に立つ記事を書くこと。

以前にも、他のサイトでブログを書いていたこともありますが、テーマを決めずに漠然と書いていたので、読み手にとっておもしろいブログではなかったと思います。

それは、読み手を意識して記事を書いていないがため、内容が自己完結していたり、単純にに出来事を報告しているにとどまっていたからです。
視点が、常に自分からであることは問題ないのですが、自分が見たことや感じたことを漠然と書いていただけですので、読み終わっても「ふーん、それで」となるのです。

このブログでは、過去の反省を踏まえ、読んでいただいた方に「俺もそう思う」「その意見には、このような視点が足りない」「ほう、それは知らなかった」といった気づきを与えることができればと考えています。

しかし、ここまでの記事を読み返してみると、読み手を意識しすぎるあまり、受けることばかりを考えて文章を書いている感じがしています。
自分の主張がないので、自分自身、何か物足りなさを感じてしまいます。また、恥ずかしい話ですが、文章の未熟さも感じずにはいられません。

伝える文章とは何かを再度、考えるため斎藤孝さんの「原稿用紙10枚を書く力」を再読しました。

このブログでは、私が読んだ書籍から得た「役に立つ」情報を切り取って伝えるというテーマを持っていますので、「原稿用紙10枚を書く力」から、書籍を読んで伝えるために必要な手法をピックアップしてみました。

■①引用から文章を組み立てる

斉藤さんは、本書内で「文章は構築力」であると主張しています。

ただ、何気なく文章を書き始めても良い文章を書くことはできません。
料理を作る際には材料と料理手順が必要になるように、文章を書く際にも材料となるものが必要となります。それが、書評の場合は料理の材料が引用になるのです。

まずは、書籍からおもしろいと思う箇所をマーキングしておきます。そして、マーキングした箇所を引用して、文章を構築していくという方法をとっていきます。

「引用」は量を書く時には非常に役立つ。何かを引用して、それについてコメントするという尺取り虫方式で、私もよく安心感を持ってかけた。

ただ、引用をつなげていくのではなく、起承転結を意識して引用をつなげていきます。
このときに、起承転結の「転」から決めていくのです。

「起承転結」とは四つが均等のものでなく、実は「転」があるかないかによってすべてがかかっている。考える順番でいえば、「転」が最初。つまり「転起承結」なのだ。

つまり、一番おいしいる材料を最初に調理することで、料理の味をしっかりとしたものにするのです。
したがって、ピックアップした引用は、重要度を意識して分類する必要があります。
何を「転」にするかによって料理の味が変わってくるのです。

■②性格の違う三つのキーコンセプトを作る

引用を数珠つなぎしていくだけでは、書き手の色が強く出てきません。
ピックアップした引用をグループ分けしていきます。グループ分けする単位は内容、時代、場所など何でもかまいません。

グループ分けする際は、グループを三つに限定することが重要です。また、限定した三つは内容が異なっている必要があります。
このグループ分けした三つが、これから構築する文章のキーコンセプトになるのです。

三つのキーコンセプトはその文章全体を構築する三脚である。あまり似たもの同士では、距離が近くなって安定しなくなる。それぞれが相互に浸食し合わない、ある程度離れた三つを立てることが重要なのだ。

また、三つキーコンセプトを絞り込む意味は

キーコンセプトがなぜ二つではダメかといえば、そのつながり方が直線的になってしまい、だれが考えてもキーコンセプトの理論が同じようなものになってしまう。そこで書き手のオリジナリティが出てこないからだ。三つをつなげることによって、複雑さが生じて、自ずとオリジナリティが出てくる。

キーコンセプトは、これから書く内容のテーマではなく、テーマについて書きたい自身の主張になります。

環境問題がテーマであれば

たとえば、「環境問題を解決するにはまず、先進国と開発途上国の経済格差を解決しなければならない」というキーコンセプトと、「アメリカのわがままが環境問題解決への大きな障害だ」というキーコンセプトでは書く方向性はまったく異なってくる。前者なら経済問題としての書き方、後者なら政治論や文化論になるだろう

テーマを決め、性格の異なるキーコンセプト三つから自身の主張を構築していきます。

■③自分の立ち位置を意識する

自分と読み手の距離感、自分と社会との距離感や書いているテーマに関する専門度合いなど、自分と書いている内容との距離感を常に意識しておかなければなりません。

自分の立ち位置をどこにとるかで、文体は違ってくる。人によっては、読者に説教するという立場をとると書きやすいという人もいるだろうし、逆に自己卑下スタイルをとると書きやすいという人もいるだろう。あるいは、ドライな感覚をとるか、ウェットな感覚をとるか、軽い方が書きやすい人もいれば、重い方が書きやすい人もいる

このブログについては大変に立ち位置が難しいです。
私が書籍から知り得た「役立つ」情報を書いているのですが、「どうだ知らなかっただろう」という立ち位置では共感を得られません。また、「私は知らなかったのですが、皆さんは当然知ってますよね」というのもおかしいので、どのような立ち位置がよいのかは、迷いながら書いているのが現状です。

書くときに難しい一因は、だれに向かって、自分がどのような立場で書くのかが明確になっていないときだ。普段はそれを意識しないので、自分の立ち位置を決めるのが難しいのだ。

立ち位置については、私自身がこのブログを書き続ける上でもっとも難しいテーマだと考えています。

■おわりに

この記事は、書籍の感想を書くという目線で、「原稿用紙10枚を書く力 」を追ってみました。

書籍の感想でない場合は、引用部分が自分のメモであったり、誰かが言った言葉であったり、新聞の記事であったり、他の情報に置き換えれば利用することができます。

現代は、以前にも増して文章を書く力が求められています。私自身は、とにかく書き続けて鍛錬していきたいと思うのでありました。